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アップル、市場支配的地位の濫用でクアルコムを提訴 10億元の損害賠償を請求

作者:編集:柳沈律師事務所 | 更新しました:2017-02-07 | ビュー:

「知産北京」2017125日のニュースによると、北京知財裁判所は、先日、アップルが市場支配的地位の濫用と標準必須特許のライセンス条件の確認との訴えでクアルコムを提訴した案件を2件受理した。

そのなか、市場支配的地位の濫用をめぐる案件において、アップルは10億人民元の損害賠償を請求した。また、2件の案件において、それぞれ合理的な支出として250万元を請求した。

アップルは、具体的に下記のような主張を出した。

クアルコムは、移動通信技術の研究開発と集積回路の設計を行なう会社として、移動通信技術に関する標準必須特許を数多く持ち、世界でもっとも大きなベースバンドチップメーカーの1つである。クアルコムは、関連国における通信標準必須特許ライセンスの市場及びベースバンドチップ市場において支配的な地位を占めている。クアルコムは、標準必須特許の権利者として、公平、合理的且つ非差別的な原則に従ってアップルに特許ライセンスを与える義務がある。しかし、アップルは、善意のライセンシーとしてクアルコムがもつ標準必須特許群についてクアルコム社との間に直接にライセンス契約を結ぶことを試し続けているが、クアルコムは、それを拒否したり、FRAND義務にあわない条件を提示したりした。

アップルは、クアルコムが関連する通信標準必須特許のライセンス及びベースバンドチップの販売において市場支配的な地位を濫用する行為があったと指摘した。その行為は具体的に下記のようになる。

クアルコムが要求した標準必須特許のライセンス料が高すぎで、アップルに提示したライセンス条件が厳しすぎるものだった。

標準技術の一部実施者に対してライセンスの提供を拒否した。

アップルが使用できる製品又はサービスを限定した。

その他、「独禁法」第17条第1款第5項に定まれた抱き合わせ行為を行ない、合理ではない取引条件を提示した。

アップルに対して差別な取扱いをした。

クアルコムの前記市場支配的地位の濫用行為は、FRAND義務を違反する行為でもある。

 

以上をもって、アップルは、クアルコムの独占行為によって被った経済的な損失と合理的な支出を支払うことをクアルコムに主張したとともに、裁判所によりFRAND義務に従うライセンス条件を裁定し、その条件をクアルコムとアップルとの間の特許ライセンス協議のもとにすることも請求した。

 

ちなみに、アップルは、2017121日にアメリカでクアルコムに対し、10億ドルの賠償金を求めて訴訟を起こした。