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一審判決を覆した知財訴訟の戦略分析——WAGO社電気接続端子特許侵害訴訟を例に
2023-12-19

ドイツWAGO管理有限責任会社(以下「WAGO社」)は、世界で有名な端子台メーカーであり、同社が独自に開発したバネ接続方式は、電気接続技術に大きな変革をもたらしました。1951年の創業以来、「安全と信頼」はWAGO社の中心理念であり、従来のねじ式接続には頼らず、より優れた「バネ接続」技術を発展させてきました。この技術の特長は、挿入された電線に対して効果的な挟着力を維持できることにあり、作業者が専門家でなくても容易に操作できる点にあります。WAGO製品の優れた性能により、電力、製造、照明、鉄道、船舶、自動車などの業界で広く採用されています。また、その一部の製品は、従来の電気工事による手作業での電線接続に代わるものとして、住宅のリフォーム分野でも広く使用されています。WAGO社は中国において関連特許を出願し、その知的財産権を保護しています。

WAGO製品の市場での人気の高さと、その製品が模倣されやすい特性から、多くの模倣業者が「WAGO代替品」と称する製品を次々と投入し、WAGO社の特許権を侵害する行為が発生しています。柳沈法律事務所はWAGO社を代理し、中国において長年にわたる特許権侵害訴訟を展開してきました。WAGO社の知的財産法務部門と緊密に連携し、さまざまな規模の侵害業者を相手取った多くの勝訴事例を獲得し、WAGOの特許を侵害する行為の数と規模を効果的に抑制し、顧客の利益を守ることに成功しました。

最近受け取った控訴審判決の一つにおいて、WAGO社の電気接続端子特許に基づいて提起された特許侵害訴訟が、全面勝訴の形で確定しました。この事案は、クレーム解釈、侵害責任の負担、損害賠償額の認定に関する問題を多く含んでおり、極めて典型的な事例です。本件の訴訟代理人として、弊所は当該事案におけるクレーム解釈、侵害責任の負担、損害賠償額の認定に関する対応戦略を共有いたします。

本件は4年にわたる特許侵害訴訟であり、侵害者は複数シリーズの多種にわたる製品によって係争特許の特許権を侵害していました。侵害者の侵害証拠を入手するのに多大な労力を要しましたが、その後も無効審判手続き(特許有効性維持)、一審、二審を経て、最終的に控訴審判決において、最高人民法院は一審裁判所の誤った認定を是正し、特許権者の主張の多くを支持しました。また、クレーム解釈や侵害責任の負担などの点について指導的な判断を示し、権利者がその権利を合理的かつ合法的に主張するための明確な指針を提供しました。

クレーム解釈

本件の一審において、一審裁判所は、侵害者のL6501、L4005の2シリーズに属する複数の侵害製品が係争特許のクレーム1~5の技術的範囲に属するものの、従属クレーム6の技術的範囲には属さないと認定し、したがってクレーム6の侵害は認められませんでした。

係争特許のクレーム6には、「プレートバネにそれぞれ電線接続クリップの外側に向かう助滑斜面(摺動補助斜面)を形成し、これらの助滑斜面は相互に漏斗状に配置されている」ことが規定されています。一審裁判所は、係争特許の明細書段落0042を踏まえると、同特許における助滑斜面はボタンと協働してプレートバネを押し広げるものであるのに対し、被侵害製品にはボタンが存在しないと判断しました。したがって、被侵害製品における二つの垂直の突起面は摺動補助の機能を果たせず、「助滑斜面」とは呼べないとして、被侵害製品にはクレーム6における「プレートバネにそれぞれ電線接続クリップの外側に向かう助滑斜面を形成し、これらの助滑斜面は相互に漏斗状に配置されている」という技術的特徴は備わっていないと認定しました。

弊所は、一審裁判所の認定は実際にクレームを限定的に解釈するものであり、クレームには規定されていないものの明細書にのみ記載されている構成要素である「ボタン」をクレームの保護範囲に含めて解釈し、その結果として上記2シリーズの侵害製品が関連クレームの保護範囲に属さないと認定したと考えます。関連法規によれば、特許権の保護範囲はクレームに記載された内容に基づいて判断すべきであり、明細書や図面はクレームの内容を解釈するために用いることができるものの、明細書や図面に記載された具体的な実施例によってクレームの保護範囲を限定することはできません。したがって、係争特許のクレーム6には「助滑斜面」のみが規定されており、具体的な実施例における「ボタン」は助滑斜面と協働しなければならない構成要素ではなく、それによってクレームの保護範囲を限定的に解釈すべきではありません。

控訴審裁判所は弊所の主張を採用し、クレーム6を限定的に解釈した一審判決の誤った認定を是正しました。そして、一審判決による「助滑斜面とボタンが協働してプレートバネを押し広げる」という理解は、実質的にクレーム6の技術的範囲をさらに限定し、その保護範囲を狭めるものであると判断しました。係争特許のクレーム6は助滑斜面について、「プレートバネにそれぞれ電線接続クリップの外側に向かう助滑斜面を形成する」と規定するのみであり、助滑斜面に対応するボタンを設けて協働させることを規定しておらず、またボタンの協働によって摺動補助機能を実現することを暗黙に求めてもいません。

民事侵害訴訟と無効審判請求審査手続きにおけるクレーム解釈の統一性

また、本件の係争特許は侵害訴訟の一審手続き中に侵害者によって無効審判が請求されました。特許侵害訴訟手続き及びそれに伴う特許無効手続きにおいて、クレームを解釈する際には、特許権の有効性と係争製品のカバレッジの両方に配慮する必要があります。

本侵害紛争事件において、争点の一つは被侵害技術が係争特許の保護範囲に属するか否か、すなわち「全面一致の原則」を満たすか否かでした。また、本件の無効手続きにおいて、無効請求人の無効理由の一つは明細書のサポートの問題でした。明らかに、被告は侵害訴訟と無効手続きの両面から「挟み撃ち」戦術を採用し、すなわち無効手続きにおいて権利者に特定の技術的特徴について特定の解釈を余儀なくさせ、その上で侵害対比において、係争製品にはその特定の解釈を施した特定の特徴が備わっていないと主張することによって、最終的な訴訟目的を達成しようと試みました。

弊所は、被告がこれら二つの法律条文の背後に隠した真の目的を十分に認識し、豊富な訴訟経験と深い技術的背景を活かして、特許権を維持しつつ侵害訴訟にも配慮する戦略を採用し、二つの戦線の協調を適切に処理しました。弊所は、無効手続きと訴訟手続きのいずれにおいても、裁判官や審査官に対して根拠に基づいた技術的説明と法的解釈を行い、両方の戦線で勝利を収めました。

このことからわかるように、特許侵害紛争においては、特許無効手続きが同時に伴うことが多く、原告と被告は特許権の有効性と係争製品が特許保護範囲に属するか否かという二つの戦線で攻防を繰り広げます。原告(通常は特許権者)は、最終的に訴訟に勝訴するという戦略的観点から問題を捉え、技術、法律、そして応訴戦略の観点から訴訟戦略を立案し、特許無効手続きと民事訴訟手続きの両方を考慮する必要があります。クレームを解釈する際には、特許の安定性を維持すると同時に、特許による侵害製品のカバレッジにも配慮し、最終的に安定した特許権を獲得し、その安定した特許権に基づいて侵害差止めを実現する必要があります。

侵害責任の負担

本件の控訴審判決における侵害責任の負担は、主に被侵害製品の製造に使用される専用金型・設備の廃棄、ならびに経済的損害および権利行使のための合理的支出の賠償額の二点に関わります。

弊所が関与した多くの特許侵害訴訟において、製造用の工具・設備に関する証拠収集は非常に困難でした。現実に、知的財産権侵害の証拠収集の難しさは、権利者の共通認識となっています。国家知識産権局が発表した『2022年中国特許調査データ報告』によれば、50%以上の権利者が、侵害行為に遭遇した際に相手方の侵害行為の存在を立証すること、侵害者が故意に侵害したことを立証すること、侵害による実際の損害を確定すること、および侵害者が侵害によって得た利益を確定することが困難または非常に困難であると回答しています[1]。これは主に、権利証憑は権利者の手元にあるものの、侵害証拠や侵害によって得た利益に関する証拠は通常侵害者の手元にあるためと考えられます。侵害者は訴訟において権利者と対立する立場にあり、権利者が容易に証拠を入手することを自ら許すはずがありません。

さらに、特許侵害の証拠は隠蔽性が高いという特徴もあります。例えば、侵害製品の製造行為は流通分野ではなく生産製造分野で行われ、警戒心の強い侵害者は証拠収集に対抗するための多くの措置を講じることが一般的です。そのため、侵害に関する情報の多くは公開された経路から入手することが困難であり、典型的には侵害製品の製造に使用される専用金型や設備、在庫製品、侵害者の帳簿などがこれに該当します。

また、一部の裁判所は、「金型の廃棄」は既に侵害差止めの訴訟請求や判決に含まれているため、独立した訴訟請求として提起すべきではないと考えています。しかしながら、金型を廃棄できなければ、侵害者が侵害製品を製造し続ける能力を根本的に除去することはできません。したがって、製品の製造に金型に大きく依存しているような事案においては、金型の廃棄は非常に重要な現実的意義を有しています。

本件において、権利者の被侵害製品の製造に使用される専用金型・設備の廃棄に関する主張について、一審裁判所は、被告に在庫製品や被侵害製品を製造する専用金型・設備が存在することを原告が立証できなかったとして、これを認めませんでした。しかし控訴審裁判所は、侵害者は信義則に基づき、専用金型や設備を廃棄することも侵害差止めに当然に含まれる義務であると判断しました。これにより、控訴審裁判所は、専用金型や設備の廃棄が侵害者が侵害を停止する際に負うべき義務であることを明確にし、権利者の立証難易度を一定の程度引き下げました。さらに重要なことは、最高院が本件において、「金型の廃棄」が一つの訴訟請求として、また裁判所の判決内容として法的根拠を有することを明確にしたことです。

賠償額の認定

経済的損害および権利行使のための合理的支出の賠償額に関して、控訴審裁判所は提出された証拠に基づき、以下の要素を総合的に考慮しました。係争特許が発明特許であり、革新性の程度が比較的高いこと、被侵害製品の種類が多く、15種類もの型式に上ること、侵害者が被侵害製品の製造、販売、販売の申出(許諾販売)を行い、複数のネットワークプラットフォーム上で販売および販売の申出を行っていること、また、被侵害製品の販売単価や利益を考慮し、一審裁判所よりも権利者の経済的損害の賠償額を引き上げて裁量的に認定しました。さらに、権利行使の合理的支出に関しては、権利者が提出した外国法律事務所の請求書及び支払証憑を認めました。

弊所が関与した多くの外国当事者関連の侵害訴訟において、外国法律事務所と外国当事者との間の金銭支払証憑が裁判所に認められにくい傾向がありました。その主な理由は、外国法律事務所が外国当事者と商業習慣に従って法律サービスを提供していること、例えば電子メールで合意に達し、当該事項に関する個別の契約を締結していないこと、また請求書を発行して外国当事者に請求していることなどが考えられます。『民法典』第469条の規定によれば、当事者が契約を締結する際に、電子データ交換、電子メールなどの方式によって内容を有形的に表現し、随時取り出して参照できるデータ電文は、書面形式とみなされます。これに基づき、当事者と法律事務所との間の契約は成立していると考えるべきです。また、権利者が提出した証拠が、関連する証拠収集費用、弁護士費用等を既に支払ったことを証明できる場合、権利者は相応の権利行使費用を支出したものと認めるべきです。

本件の控訴審において、控訴審裁判所はWAGO社が提供した請求書および支払証憑を認め、弁護士費用、公証費用、調査費用の合理性と必要性を考慮し、権利者の権利行使のための合理的支出の賠償額を引き上げて裁量的に認定しました。最高院の本件控訴審判決は、通常は契約書や領収書が存在しない外国関連案件における弁護士費用の認定に対して、指導的な意義を有しています。