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「日系企業の中国における知的財産訴訟に関する分析報告」が発表

作者:隋 怡文 | 更新しました:2022-03-21 | ビュー:

2022年1月、中国初の知的財産の革新・保護に注力したビッグデータ技術企業である知産宝は、「日系企業の中国における知的財産訴訟に関する分析報告」(以下は、「報告」と略称する)を発表した。この報告は、過去3年間の海外関連案件の知的財産権分野、関連国、賠償の状況を背景とし、主に注目度の高い知的財産案件の分野、企業規模、産業区分などを取り上げ、過去3年間の中国における日本企業の知的財産権訴訟に関する統計データを提供した。


1.過去3年間の海外関連案件の状況

「報告」によると、過去 3 年間の海外関連案件には、専利、商標、著作権、インターネットドメイン名、不正競争、営業秘密など 12 種類の知的財産権に関わっていた。そのうち、商標案件が76.11%と最も多く、次いで著作権案件が12.00%、専利案件が9.25%となった。当事者の国籍からみると、88カ国に関わり、そのうち、米国当事者の案件が7096件で最も多く、次いで韓国が5637件、英国が2341件で、日本が1854件で7.25%であった。また、外国人当事者の訴訟の立場に関するデータもまとめて、過去3年間、外国人が原告として訴えを提起した案件は84.46%と大半を占め、次いで第三者として訴訟に参加するのが13.67%、さらに被告となった案件が0.85%であった。


2.過去3年間日本企業による知財訴訟の状況

「報告」によると、過去3年間日本企業が中国で提起した知的財産権訴訟案件は合計1,853件(一審から再審まで含む)であり、年々増加傾向にあることが明らかになっている。そのうち、2018年は473件、2019年は620件、2020年は760件となっていた。案件の種類について、商標案件が67.40%と最も多く、次いで専利案件が26.12%、不正競争案件が3.84%、著作権案件が2.16%、営業秘密案件が0.21%、インターネットドメイン名と独占案件が共に0.11%、知的財産紛争の非侵害確認訴訟が0.05%であった。「報告」によると、過去3年間、中国での訴訟案件の大半で、日本企業が原告として提訴した案件であり、74.1%を占め、次いで第三者として訴訟に参加した案件が22.28%、被告となった案件が2.37%であった。

過去3年間の日本企業による中国での専利侵害案件の統計データから分かるように、侵害された専利権が特許と実用新案であった案件は合計64件、技術分野として8の技術分類に関連し、そのうち、最も多いのは処理操作と運輸領域で合計14件、次いで機械工学、照明、暖房で合計13件、そして固定構造物で合計10件であった。意匠権侵害案件は13技術分類に関連し、合計42件あった。そのうち、LOC分類の第28類(医薬品、化粧品、トイレタリー、電気器具)が8件で最も多く、次いで10類(時計、腕時計及びその他の測定器、検査、信号装置)が7件、第14類(録音、通信又は情報再生装置)が6件であった。

 

「報告」の最後には、過去3年間に日本企業の中国での知的財産権訴訟案件のうち、参考価値の高いものをまとめ、「代表的な案件TOP10」を発表した。弊社が代理した株式会社クボタvs.蘇州久富農機の専利権侵害紛争案件((2017)蘇05民初第1079号)は入選された。


出所:知産宝「日系企業の中国における知的財産訴訟に関する分析報告」