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改正『専利法実施細則』が正式に公布

作者:岳 雪蘭 | 更新しました:2023-12-29 | ビュー:

 『専利法実施細則』の改正が11月3日に国務院で可決し、12月21日に正式に公布された。2024年1月20日より施行される。

 今回の実施細則の改正は、14年ぶりの改正となる。改正内容から見ると、2020年の第4回改正専利法に対応し、新たに導入された制度の実行に関する規定のほか、国際条約との調和により新設された規定もあり、近年の専利出願・審査実務に合わせて追加・調整した内容もあり、いわゆる全面的な改正である。

 主な改正内容は下記のようにまとめる。


改正専利法に対応する改正

1.部分意匠の出願形式が明確になり、製品全体の図面を提出しなければならず、点線と実線を組合わせる方式やその他の方式で保護しようとする部分を示すと規定される。

2.意匠出願の国内優先権主張について、先行の特許や実用新案の図面に示された設計に基づいて優先権主張してもよく、先行の意匠出願に基づいて優先権主張してもよい。先行の特許や実用新案に基づいて国内優先権主張の場合、意匠出願を提出することにより、先行の特許や実用新案は取り下げるとみなされることがない。

3.特許権存続期間の補償について詳しく規定し、特許権存続期間補償請求の提出期間、提出要件、補償期間の計算方法、存続期間補償請求の審査流れなどが明確に定められる。

4.出願する際に誠実信用原則に従わなければならず、虚偽を弄ることができないと定め、誠実信用原則違反は、拒絶理由でもあるし、無効理由でもある。

5.開放許諾声明の提出時間、開放許諾声明の記載要件、開放許諾できない状況が詳しく定められる。

国際条約との調和

6.優先権制度が完備され、所定の期間内で優先権の回復、優先権主張の追加・改正ができるようになり、引用による補充も認められるようになる。

7.ハーグ条約に基づく意匠国際出願に関する特別規定が定められる。

専利出願・審査の実務に合わせる調整

8.実用新案出願について、明らかに進歩性が欠如するかは審査内容となり、意匠出願について、従来設計と比べて明らかに差異がないかも審査内容となる。

9.電子式で送達される書類は、当事者の認めた電子システムに入った日が送達日となる。これにより、国家知識産権局が電子式で発行される各通知書の応答期間について、従来の15日の郵送期間がなくなる。

10.新規性喪失の例外状況として、国務院主管部門が認可した国際組織により開催された学術会議や技術会議での初めての発表が追加され、新規性喪失の例外を主張するための証明資料の要求も緩和される。


 『専利法実施細則』の改正が公布された同日に、国家知識産権局は、『改正専利法およびその実施細則の施行に関連する審査業務処理の経過措置』を公布し、『専利審査指南』の改正も公布した。


参考サイト:

https://www.cnipa.gov.cn/art/2023/12/21/art_98_189197.html

https://www.cnipa.gov.cn/art/2023/12/21/art_527_189194.html

https://www.cnipa.gov.cn/art/2023/12/21/art_99_189202.html