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インターネットにおける画像、動画の公開時間の認定 —— (2022)最高法知行終469号

作者:丁萌 | 更新しました:2024-09-03 | ビュー:

近日、最高裁はその判決において、「特許権の付与・権利確認の手続において、インターネット上の画像、動画の公開時間の判断は、サイトの資格・信用、運営管理モデル、技術的手段などの要素を総合的に考慮した上で、ページ画像、動画の編集、公開メカニズムを重点的に審査しなければならない。ユーザーが自ら編集して公開時間を変えられる場合や、公開内容、公開状態などが変わっても公開時間が変わらない場合は、他に証拠がなければ、通常はその公開時間を関連情報の公開時間と認定することはできない」との見解を示した。

北京紫某科技有限公司(以下「紫某公司」という)は特許番号が201310354697.8である特許権(以下「本特許権」という)の特許権者である。北京精某科技有限公司(以下「精某公司」という)は本特許権に対して無効審判を請求し、公証されたYouTubeとFacebookサイトの動画と画像を証拠として提出した。国家知的財産権局は、精某公司の証拠が本特許の出願日の前に一般公衆が自由に知り得る状態にあるか否かを確定することができず、さらに、上記証拠が本特許の新規性と進歩性を評価する従来技術に該当するか否かを確定することができないと判断し、本特許権を維持する審決を下した。精某公司は上記審決に対して不服を唱え、北京知的財産権裁判所に提訴した。北京知的財産権裁判所は上記審決を取り消す一審判決を下した。その後、紫某公司は最高裁に控訴した。最高裁は一審判決を取り消し、精某公司の訴訟請求を棄却した。

本件では、紫某公司が二審で提出したFacebookサイトのページに対して修正操作を行ったスクリーンショットのビデオが最高裁の判断に大きく影響した。当該証拠によれば、ユーザーが画像をFacebookサイトにアップロードした後、自ら公開時間を画像のアップロード時間より前の任意の日付に編集することができる。また、ユーザーが元の画像を新しい画像に差し替えた場合であっても、外部に表示される公開時間は差替操作によって変わることはない。さらに、当該証拠には、ユーザーがYouTubeサイトに動画をアップロードした後、動画状態を非公開や公開に編集しても公開時間は変わらないことが示されていた。

最高裁の判断は次のとおりである。精某公司が提出した証拠1-1、1-2は広告宣伝資料であり、アップロードしたら一般公開状態になるという精某公司の主張に対して、証拠1-1、1-2としてのYouTubeの動画が広告宣伝に使われていたことを確認できない。つまり、公開状態が変化していないことを合理的に推定できない。証拠1-3から1-7はFacebookサイトの画像である。前述した紫某公司が二審で提出したスクリーンショット動画の証拠が示すように、ユーザーが公開時間を自由に編集できるので、証拠1-1~1-7の関連動画、画像は、YouTubeサイトとFacebookサイト上で示されている公開時間が実際の公開時間であることを証明できず、上記動画や画像がサイト上の公開時間に公開状態である事実は高い蓋然性を有していない。この際、精某公司が証拠1-1~1-7の証明力を補強する他の証拠を提出できない場合、上記証拠は公開時間が本特許の出願日の前であることを証明することができない。したがって、上記証拠は、本特許の新規性と進歩性を評価する従来技術であると認められない。



参考サイト: https://ipc.court.gov.cn/zh-cn/news/view-3185.html