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『最高人民法院による「不正競争防止法」の適用に関する若干問題の解釈』が公布

作者:丁 萌 | 更新しました:2022-05-17 | ビュー:

3月16日、『最高人民法院による「不正競争防止法」の適用に関する若干問題の解釈』(以下は『解釈』という)が公布された。2022年3月20日から施行された。『解釈』は計29条を有し、改正後の『不正競争防止法』に基づき、不正競争防止法第2条の一般条項の適用基準や模倣・混同行為、虚偽宣伝、ネット上の不正競争行為に対する判断基準について細分化している。 


そのうち、実務中の新たに現れた不正競争行為に対する認定基準が統一されていない問題に対して、『解釈』第1条には「事業者が市場競争の秩序をかく乱し、その他事業者又は消費者の合法的な権益を害し、かつ不正競争防止法第二章及び専利法、商標法、著作権法等の規定に違反する状況以外の情状に該当する場合には、人民法院は不正競争防止法第2条を適用して認定を行うことができる」、と規定されている。このように、一般条項と具体的な行為に関する条項、知的財産権専門法の規定との間の適用関係を明確にするほか、汎用規定としての一般条項の位置付けも明確した。


不正競争防止紛争事件に大きな比例を占める模倣・混同行為について、『解釈』は11条の条文で下記3つの方面から不正競争防止法第6条の「模倣混同」の規定を細分化した。第一は、『解釈』第4条は「一定の影響がある」標識の意味と認定時の考慮要素を明確にし、「一定の市場の知名度を有するか否かを認定するにあたり、中国国内の関連公衆における周知度、商品販売の期間、区域、販売額及び対象、宣伝の継続期間、程度及び地域範囲、標識の保護状況等の要素を総合的に考慮しなければならな」、と規定されている。第二は、『解釈』第7条によると、商標法に規定された使用・登録禁止すべきである標識は不正競争防止法の保護を受けることができない。第三は、「市場主体登記管理条例」の規定を参照して、その名称が保護される市場主体の範囲を細分化した。


虚偽宣伝行為の認定について、『解釈』第16条では、「事業者が商業宣伝の過程において、真実でない商品関連情報を提供し、関連公衆を欺罔、誤認を生じさせた場合、人民法院は虚偽の商業宣伝と認定しなければならない」、と明確された。


近年増加しているネット上の不正競争行為に対して、『解釈』は法律の適用条件を適切に細分化した。第21条には、「リンクを挿入しただけでウェブページの遷移はユーザがトリガーするものである」遷移行為について、人民法院はリンクの具体的な挿入方式、合理的理由があるか否か、ユーザ及び他の事業者の利益への影響等を考慮し、当該行為が不正競争行為に属するか否かを判断しなければならないことを明確した。


『解釈』は不正競争防止法の適用及び判断基準に対してより明確にした。不正競争関連の司法保護や競争政策の基礎的地位の強化と、高効率で規範的な国内統一市場の形成を促進するのに重要な意義を持っている。


参考サイト:

https://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-351291.html

https://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-351311.html

https://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-351301.html