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「自動車標準必須特許ライセンス手引き」が公布

作者:丁 萌 | 更新しました:2022-12-07 | ビュー:

2022年9月13日、中国自動車技術研究センター、中国情報通信研究院より共同で「自動車標準必須特許ライセンス手引き」が発表された(以下は「手引き」という)。「手引き」には、定義、ライセンスの核心原則、合理的なライセンス料の算定原則、解釈権及び声明などの部分が含まれている。「手引き」は初めて中国の自動車標準必須特許ライセンスの核心原則とライセンス料の算定原則について説明しているので、以下は二つの主な原則を簡単に紹介する。

1.自動車標準必須特許ライセンスの核心原則

特許ライセンスの核心原則については、「手引き」では、特許権者と実施者がライセンス交渉の際に、利益バランスの原則、公平、合理的、無差別的な原則、産業チェーンのいずれかの環節でもライセンス資格を獲得できる原則と、業界間の差異を協議して処理する原則を従うように呼びかける。

その中で、「いかなる善意の特許実施者にも標準必須特許ライセンスを得る権利があり、標準必須特許権者は、産業チェーンの所在レベルを問わずに、意図的にライセンスを得ようとする実施者にライセンスを付与する義務がある。標準必須特許権者は、同一の産業チェーンの異なるレベルに所在するメーカーから標準必須特許ライセンス料を重複して徴収してはならない」、「自動車製品向けの標準必須特許のライセンスモードが自動車業界における現行のライセンスモードや商業慣例と差異や分岐が存在する場合、双方の所属する業界の特徴と商業慣例を十分に尊重し、考慮しなければならない」、と明確に提出される。

2.合理的なライセンス料の算定原則

合理的なライセンス料の算定原則には、ライセンス料の算定基数、考慮要素、累積ロイヤルティ料率の制限原則、およびライセンス料算定方法の合理的な選択原則が含まれている。

ライセンス料の算定基数については、「標準必須特許技術が自動車製品に実際に貢献する製品ユニットをライセンス料の計算基数とするとともに、標準必須特許技術と関係がない他の製品ユニットをライセンス料の算定基数に含めることを避けるべきである」と明らかにする。さらに、ライセンスレベルの変化によってライセンス料に著しい差が生じてはならないことが規定される。具体的に、「ライセンスレベルにもかかわらず、同じ自動車製品に基づいて算定された標準必須特許ライセンス料はほぼ同じでなければならなく、ライセンスレベルの違いによってライセンス料に著しい差が生じてはならない」と明確にする。

合理的なライセンス料については、特許技術の自動車製品に対する実際の価値度への貢献などの要素を考慮するほか、「実施者の生産と販売区域、特許権者の特許地域分布及び地域ごとの経済レベルの差異などの要素を考慮しなければならない。地域ごとに異なるロイヤルティ料率を適用することができる」。 累積ロイヤルティ料率の制限原則は、ライセンス双方の利益バランスを確保するように、自動車製品の標準必須特許ライセンス料の合計には合理的な上限値を設定し、この上限値はライセンス製品が所属する業界の合理的利益の一定の割合とすることができることを提出する。また、「手引き」には、標準必須特許のライセンス料を算定する際に、top-down approach、 comparable agreement methodなどを採用できる、と明確される。 

「自動車標準必須特許ライセンス手引き」は中国初めての自動車業界の標準必須特許ライセンス活動を規範化する参考文書として、我が国の自動車業界の標準必須特許ライセンスの実践を更に規範化し、自動車と通信などの産業間の融合発展を加速し、市場の公平な競争を保護することになる。



参考サイト:https://www.samr.gov.cn/jzxts/zcyj/202209/t20220916_350090.html