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中国最高人民法院、OPPO vs ノキア案件でSEPグローバルロイヤリティに管轄権があると判示

作者:隋 怡文 | 更新しました:2022-12-07 | ビュー:

2022年9月7日、OPPO vsノキアのグローバルロイヤリティ紛争事件について、中国最高人民法院知的財産法廷は最終審裁定を下し、ノキア社の上訴請求を棄却し、重慶市第一中級人民法院が下した第一審裁定を維持した。

ノキア社側が提出した主な訴訟請求には、元裁定を取り消し、本件が一審法院に管轄されるのが適当ではないことを確認し、OPPO社の起訴を棄却することが含まれる。ノキア社側が提出した事実と理由は、(1)OPPO社側がグローバル標準必須特許のロイヤリティ料率の裁定を法院に求めよう訴訟を提起したことは、専属管轄の原則と国際慣例に違反している。(2)中国の法院は本件に対して管轄権を有していない。本件の双方当事者は特許実施許諾契約を締結しておらず、特許実施許諾契約の履行地が存在せず、本件は特許権侵害訴訟又は非侵害確認訴訟でもないため、特許権侵害紛争の管轄規定に適用することもできない。(3)一審法院は本件に対して管轄権を有していない。許諾契約の締結者又は交渉者ではないため、OPPO重慶公司は本件の適格原告ではない。重慶市は特許実施許諾契約の履行地ではなく、係争特許の主な実施地でも外国特許の実施地でもないので、一審法院は係争特許のグローバルロイヤリティ料率を裁判する権利がない。

OPPO社は答弁書において以下のように述べた。即ち、本件の性質は特殊な種類の紛争であり、中国の法院は本件に対して適切な管轄権を有する。双方当事者は2018年11月に『2018特許実施許諾契約』を締結していた。本件の標準必須特許のロイヤリティをめぐる紛争は、『2018特許実施許諾契約』に含まれた元の2G、3G、4G標準必須特許の実施許諾に加えて、新たに追加された5G標準必須特許の実施許諾にも関わり、各当事者が将来合意しようとする新たな実施許諾契約の履行地は『2018特許実施許諾契約』と同じである。本件の許諾対象は複数件の中国特許に係り、実施許諾を受けた者であるOPPO社側の登録地及び生産、研究開発及び製造の拠点は中国にあり、標準必須特許を実施する製造行為等も中国にある。しかも、中国はOPPO社の最大の販売市場であり、本件は中国とより密接な関係があるので、中国の法院は本件に対して管轄権を有する。

審理を経て、最高人民法院知的財産法廷は各当事者の主張及び一審法院が初歩的に明らかにした事実に基づき、本件の第二審における争点は一審法院が本件に対して管轄権を有するか否かだと認定した。具体的に以下のようにまとめられた。(1)中国の法院は本件に対して管轄権を有するか否か、(2)中国の法院は本件に対して管轄権を有する場合、一審法院が本件に対して管轄権を行使することは適切であるか否か、(3)一審法院が管轄権を有する場合、本件において係争標準必須特許がグローバル範囲内での実施許諾条件に対して裁判を下すことが適切であるか否か、ということである。

最終的に、最高人民法院知的財産法廷は、中国は本件紛争の標準必須特許の主な権利付与地、実施許諾の協議地、契約締結後合理的に予見可能な契約履行地、主な実施許諾地の1つであり、本件紛争とかなり密接な地域的関係があり、中国の法院は本件に対して管轄権を有することは言うまでもないと認定された。このうち、標準必須特許の主な実施地の人民法院は、紛争と適切な関係を有し、当該紛争に対して管轄権を有し、それに応じて係争民事紛争、すなわち係争標準必須特許の許諾条件の問題を審理することも認められた。


出所:IPエコノミーWechatアカウント