2010年4月21日、最高人民法院は初めて白書の形で社会公衆に人民法院による知的財産権司法保護状況を公表し、現在までに14件の中国法院知的財産権司法保護状況に関する白書(以下、白書という)を発表した。白書は、中国法院における各年度の知的財産権司法保護の全体的な状況を示し、中国の知的財産権司法保護の成果を総合的に理解する重要な資料であり、国内外が中国法院知的財産権司法保護の業務を理解する重要な道である。
中国知名な知的財産権法律データサービスプロバイダである知産宝は過去最高人民法院が発表した14件の白書を収集し、その中の各方面のデータを抽出して統計を行った。この統計により、知的財産権業界の専門家、学者、弁護士及び社会公衆の皆様が中国の知的財産権司法保護を研究するためのサポートを提供することを図っている。
1.14年以来、2022年の新規受理件数が初めて減少
白書によると、2021年までに、人民法院は一審、二審、再審等各種の知的財産権紛争案件の新規受理件数が全体的に着実に増加し、新規受理案件数は2009年の38489件から2021年のピーク値642968件に増加し、約15.7倍に増加した。2022年には案件数が初めて減少した。
2.2022年に商標・著作権の案件数が大幅に減少し、専利・競争類案件が継続的に増加
2009-2022年、地方の各級人民法院が受理した知的財産権関連民事各種の案件数は下図に示している。著作権案件は2009年の15302件から2021年のピーク値360489件に増加し、22.5倍増加した。商標権案件は2009年の6906件から2021年のピーク値124716件に増加し、17.1倍増加した。
また、著作権・商標権の案件は、2022年に受理件数が明らかに減少し、著作権案件は同期比29.1%減少し、商標権案件は同期比9.8%減少した。
一方、著作権・商標権の案件に比較すると、専利・技術契約・競争類の案件は、2022年に案件数が継続的に増加し、そのうち専利案件の増加率は23.3%で、2021年(10.8%)に比べて12.4%上昇し、技術契約案件の増加率は5.6%で、2021年(22.5%)に比べて16.9%低下し、競争類案件の増加率は11.5%で、2021年(78.5%)に比べて66.7%減少した。
3.14年以来、行政案件の二審判決の訂正率が大幅に上昇
2010-2022年、行政二審案件の裁判結果の分布は下図に示すように、原判決を維持する案件の割合が低下し、原判決を変更する案件の割合が大幅に上昇した。
4.刑事事件において登録商標侵害案件の割合が大きい
2013-2022年、地方各級人民法院知的財産権における結審の刑事事件の訴因分布状況は下図に示すように、偽造登録商標の刑事事件数、偽造登録商標の商品販売の刑事事件数が若干増加し、著作権侵害の刑事事件数が大幅に減少した。2022年の白書では、このデータが公開されていない。
出所:知産宝による「2009年~2022年中国法院知的財産権司法保護状況データ一覧」