知財情報

マイケル・ジョーダン氏の商標裁判、最終判決で勝訴

作者:丁 萌 | 更新しました:2020-04-23 | ビュー:

2020年3月、中国最高人民法院は「(2018)最高法行再第32号」の行政判決を下した。中国のスポーツウェア会社である喬丹体育(Qiaodan Sports)が商標区分の第25類(衣類、靴、帽子、靴下)で登録出願した第6020578号の「喬丹(中国語表記)+図形」の商標は、アメリカNBAの元スター選手、マイケル・ジョーダン氏の氏名権を侵害し、取消すべきと認定した。


 1.経緯


2012年、アメリカNBAの元スター選手、マイケル・ジョーダン氏(中国では、「邁克尔・喬丹」との中国訳名で知られる)は、6020578号の「喬丹(中国語表記)+図形」の商標登録を取消すようと、中国商標評審委員会に申請したが、商標登録維持の裁定がなされた。これを受けて、ジョーダン氏は北京市第一中級人民法院に行政訴訟を提起したが、一審、二審とも敗訴した。そのため、ジョーダン氏は最高人民法院に再審を提起した。



2.案件の争点及び裁判理由

 本件の主な争点は、係争商標がジョーダン氏が主張した氏名権と肖像権を侵害したか否か、商標法第31条の「商標登録出願は、先に存在する他人の権利を侵害してはならない」に関する規定に違反するか否か、ということである。

 係争商標の登録出願は上記商標法第31条の規定に違反する、と最高人民法院は認定した。マイケル・ジョーダン氏は係争商標の登録出願日の前、バスケットボールの分野だけではなく、中国国内で高い知名度がある公衆人物にもなっていた。「喬丹体育」(会社)は、ジョーダン氏が中国で長期にわたり広範な好評を持っていることを知っているくせに、「喬丹(中国語表記)」という商標を登録出願した。係争商標が標記されている商品はジョーダン氏とは何か使用許諾、許可などの特定関係があるものと、公衆を誤解させやすいため、ジョーダン氏の氏名権を侵害することになる。『中華人民共和国民法通則』第99条、『中華人民共和国侵害責任法』第2条の規定によって、該商標の登録出願は先に存在する他人の権利を侵害したと認定された。

また、係争商標の出願登録はジョーダン氏が主張した肖像権を侵害しか否かについては、係争商標の標識における図形はただ人間の形をした黒いシルエットだけであり、体の輪郭を除いて、ジョーダン氏の何れか個人的な特徴が含まれないため、肖像権侵害にならないと、最高人民法院は認定した。

 

 3.判決の結果

 商評委員会の裁定及び一審および二審の判決は、事実認定および法律適用に誤りがあり、取り消すべきである。国家知的財産権局は第6020578号の「喬丹+図形」の商標登録出願に対して改めて裁定すべきである。 


参考サイト:https://new.qq.com/omn/20200408/20200408A0M2C700.html?pc