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専利侵害訴訟の損害賠償額の算定

作者:丁 萌、岳 雪蘭 | 更新しました:2021-11-02 | ビュー:

1.  はじめに

専利(特許/実用新案/意匠)侵害事件では、損害賠償額の判定は案件審理の重点と難点である。専利権の無形性により、その価値の評価が難しいとともに、侵害行為に関する証拠収集の難しさや技術内容の複雑さによって、損害賠償額の認定には明確で統一した基準を形成するのが難しくて、ケースバイケースで判断すると言っても過言ではない。

近年、知的財産権への司法保護の強化に伴い、侵害行為に対する処罰力を高めて、知財案件審理のレベルを高めるよう、損害賠償制度がますます整備され、各級裁判所が実務において賠償額算定の精密化、合理化を模索し続けている。

本文では、新たに改正された専利法および具体的な判例を踏まえ、専利侵害事件における損害賠償額の算定方法を整理し、賠償額の立証、裁判所による賠償額の認定などについて分析を試みた。


2.  専利法における関連規定の変遷

今年6月1日より正式に施行された第四回改正『専利法』第71条によると、「専利権侵害の賠償金額は、権利者が権利侵害によって受けた実際の損失又は侵害者が権利侵害によって得た利益に応じて確定する。権利者の損失又は侵害者が得た利益の確定が困難である場合、当該専利ライセンス料の倍数を参酌して合理的に確定する。故意に専利権を侵害し、情状が深刻である場合、上記方法で確定した金額の1倍以上5倍以下で賠償金額を確定することができる。

権利者の損害、侵害者の得た利益、専利ライセンス料を確定することがいずれも困難である場合、人民法院は専利権の種類、侵害行為の性質及び情状等の要素に基づき、3万元以上500万元以下の賠償を認定することができる。

賠償金額には、権利者が侵害行為を制止するために支払った合理的な支出も含まれなければならない。

人民法院は賠償金額を確定するために、権利者がすでに立証に力を尽くしたにもかかわ らず、侵害行為に係る帳簿、資料が主に侵害者に把握されている状況では、侵害行為に係る帳簿、資料の提供を侵害者に命じることができる。侵害者はそれを提供せず、又は虚偽の帳簿、資料を提供した場合、人民法院は権利者の主張及び提供した証拠を参考にして賠償金額を判定することができる」。

この規定により様々な賠償額の算定方法が提供され、権利者は事件の具体的な状況に応じて適切に選択することができる。また、今回の法改正では、法定賠償金の引き上げ、懲罰的賠償の導入、侵害者の立証責任の規定によって、侵害行為に対する処罰が厳しくなり、権利者の立証難度を軽減し、権利者への保護を強化することになる。

このような細かくて強力な賠償制度は一挙に形成されるものではない。過去の専利法改正を振り返ると、次の表に示すように、中国の専利法では、損害賠償制度は、なしから有りへ、粗略から精密へ、単純な補償原則の採用から懲罰原則も併せて採用するへと変化した。

1985年に施行された専利法には損害賠償に関する規定がなかった。2000年に2回目法改正に初めて賠償額の3つの算定方法が確立された。その後、「立証が難しく、権利行使のコストが高く、賠償額が低く、効果が悪い」などの問題に対して、3回目と4回目の法改正では損害賠償額の算定方法についてさらにいろいろな改正を行った。


専利法

賠償額の算定方法

説明

2001年の2回目改正

a権利者の損失または侵害者の利益

b専利ライセンス料の合理的な倍数

賠償額算定方法の規定

abは順番適用

2009年の第3回目改正

a権利者の実際の損失

b侵害者の利益

c専利ライセンス料の合理的な倍数

d法定賠償(1万元~100万元)。

e侵害行為を制止するために支払った合理的な支出

実際の損失を強調

合理的な支出の追加

法定賠償の導入

adは順番適用

2021年の第4回目改正

a権利者の実際の損失または侵害者の利益

b専利ライセンス料の合理的な倍数

c懲罰的賠償(AB両基数の15倍)。

d法定賠償(3万元~500万元))。

e侵害行為を制止するために支払った合理的な支出

実際の損失と侵害者の利益の順番適用の取消し

懲罰的賠償の導入

法定賠償額の引き上げ


賠償額の算定について明確な法規定があるが、具体的な案件において、賠償額を判明するには当事者の証拠だけでなく、経済学、会計学などの専門知識を活用する必要があり、決して容易なことではない。これも長年、本来補足的な立場にあるべき法定賠償が知財案件において主な算定方法になった一つの原因である[1]。幸い、近年、知財案件について損害賠償制度が整備され、権利者の立証能力も向上し続けるにつれて、一部標的が高い知財案件では、裁判所が細かく計算することで賠償額を確定し、判決書においてその理由を詳しく説明する傾向が高まっている[2]。

ここで、近年のいくつかの賠償額が高い専利侵害案件に基づいて、専利法に列挙された算定方法の実際の適用を簡単に紹介する。


3. 賠償額の算定方法

3.1 権利者の実際の損失に基づいて算定する

「権利者が侵害されたことによって受ける実際の損失」とは、侵害行為の存在によって、権利者が実際に得た利益と、侵害行為がないと仮定した場合に得られる利益との差額である[3]。 「専利紛争案件の審理における法律適用の問題に関する若干の規定」[4](以下、専利紛争事件司法解釈という)では、実際の損失に基づいて賠償額を算定するための具体的な計算式が規定される。簡単に言うと、下記の式(1)となる。

実際の損失=専利製品の販売減少量×専利製品の単位当たりの合理的利益……式(1

この計算式が成立できる前提とは、専利製品販売量の減少が完全に侵害行為によって引き起こされた、すなわち侵害行為と販売量の低下との間に因果関係があることである。 しかし、製品の販売量の低下は生産、マーケティング、消費者の習慣、市場変化など多方面の原因によるものであり、上記因果関係を証明することはかなり困難である。

したがって、上記司法解釈では、式(2)のような別の計算式も提供される。即ち、

実際の損失=侵害品の販売量×専利製品の単位当たりの合理的利益……式(2

第2の計算式によって因果関係の証明を回避することができ、代わりにより簡単に証明できる「侵害品の販売量」を採用するため、実務で広く採用されている[5]。公式統計データ(税関の輸出データ、合格証の発行部門のデータなど)、ECプラットフォームの販売量データ、侵害者の宣伝販売量などが関連証拠とすることができる。

以上の2種類の計算式には専利製品の合理的利益を考慮する必要がある。この利益を確定するポイントは「合理的」ということである。そのため、専利製品の実際の利益だけでなく、業界慣行の利益も考慮する必要がある。通常、専利製品の損益計算書、自社監査報告書、同じ業界の上場会社の財務報告書などは合理的利益を証明するために利用できる。

握奇vs恒宝事件[6]では、北京知財裁判所は一審で原告握奇社の賠償請求を全額支持し、被告恒宝社が原告の経済損失4900万元を賠償すると判決した。二審でかかる特許が無効されたが、一審判決で賠償額の算定方法は参考となれる。

本件において、原告は侵害行為によって権利者が受けた実際の損失に基づいて賠償額を算定し、具体的に上記式(2)に基づいて算定するよう請求した。

侵害品の販売量について、原告の申立てにより、裁判所は、被告が中国銀行など12軒の銀行に侵害品を481.42万個販売したとの証拠を収集した。

また、原告は公正証書を提出し、被告がその公式サイトで渤海銀行など他の3つの銀行にも侵害品を販売したと証明した。ただ、この公式サイトでは具体的な販売量を公表されていなかった。

専利製品の単位当たりの利益について、原告は会計師事務所が専利製品の粗利率について特別監査して発行した「特別監査報告書」、専利製品の購入単価を記載した購入契約書、同類製品を製造・販売している別会社の年度報告書と上場申請の説明書類を証拠として提出し、同類製品の粗利率と平均単価を証明した。これら証拠に基づいて、専利製品の合理的利益が10元とすると原告は主張した。

原告は、明らかになった12軒の銀行に関わる販売量に基づいて、実際の損失額は4814.2万元であると主張し、他の3つの銀行への売上げが明らかにならないため、被告の利益は200万元であると合理的に推定するように請求し、そのうちの85.8万元を主張した。合計4900万元の損害賠償を主張した。

審理を経て、裁判所は被告が12軒の銀行に販売した侵害品の数が481.42万個であることを認めた。侵害品の合理的利益について、裁判所は原告の一連の証拠に対する審理を経て、原告は故意に虚偽なデータを提供する悪意がないと判断し、提出した「特別監査報告書」は証明力があるため、専利製品の利益が10元とするのは合理的である、と認めた。

被告の公式サイトに記載されている渤海銀行など他の3つの銀行に侵害品を販売する行為に対して、裁判所は証拠保全裁定によって被告に対して取引契約書などの関連証拠の提供を命じ、かつ開廷審理で再び提出を要求したが、被告は始終して拒否した。これに対して、裁判所は「民事訴訟証拠に関する若干規定」第75条の「一方当事者が証拠を保有しているにも関わらず正当な理由なく提出を拒否したことを証明する証拠があり、相手方当事者は当該証拠の内容が証拠保有者にとって不利であることを主張した場合、当該主張の成立を推定することができる」という規定に基づき、原告の主張が成立できると推定した。原告の経済損失は481.42万(個)×10(元)+85.8万元=4900(万元)と判定し、原告の請求した賠償額を全額支持した。

ちなみに、本件において裁判所は「立証妨害」制度を適用し、被告が公開しない侵害品の販売量について、裁判所は関連証拠の提出を命じ、被告が拒否したため、「立証妨害」の責任を負い、裁判所は権利者の主張に基づいて賠償額を認定した。この制度は最初に司法解釈に規定され[7]、今回、専利法の第71条に正式に導入された。これにより、権利者の立証難度が大幅に下げられ、裁判所の事実究明と賠償額の合理的な算定に役に立つ。


3.2 侵害者の侵害利益に基づいて算定する

侵害利益とは、侵害者が侵害行為を実施して得た利益である。専利侵害事件では、権利者の実際の損失よりも、侵害利益のほうが証明しやすい。

侵害利益の具体的な計算方法について、「専利紛争事件司法解釈」[4]に下記式(3)のような規定がある。

侵害利益=侵害品の販売量×侵害品の単位当たりの合理的利益……式(3)。

侵害利益に基づいて賠償額を算定する場合、かかる権利の寄与率に注意する必要もある。最高裁判所の関連司法解釈[8]では、「専利法第65条1項に基づいて、侵害者が権利侵害によって取得した利益を確定する場合、侵害者の専利権侵害行為によって取得した利益に限るものとする。ほかの権利により生じた利益は、合理的に差し引かなければならない」と規定される。

実際の製品では、1つの製品に多くの技術が含まれており、製品の利益には他の技術の貢献も含まれている可能性がある。また、同じ侵害者の製品であっても、一部の型番が侵害品であり、ほかの型番が侵害品ではないこともある。これらのことにより、侵害利益の算定が難しくなる。裁判所は侵害者の全体利益から侵害品の利益を判別できないため、代わりに法定賠償を適用するケースもある[3]。

無錫国威VS常熟林芝事件[9]では、被告が侵害品を販売した総額に侵害品の利益率を乗じて得た侵害利益に基づいて損害賠償を計算すると原告は主張したが、一審では、証拠では被告が販売した製品がすべて侵害品であることを証明できず、原告は侵害品の利益を証明できないと判断し、法定賠償を適用して賠償額を100万元と判定した。

係争専利はエアコン用のPTC発熱器に関する。原告が提出した賠償額に関する証拠には、被告が4社の空調会社に対する発熱器の販売量、販売金額を含む販売データが含まれている。 その中で、被告がMedia、Hisense(浙江)、TCLの3社に対する出荷記録には販売金額がすべて侵害品の金額であることを示していなかった。一方、Hisense(山東)社に関わる販売証拠において、製品の型番が明記され、実物によってこれら型番の製品では専利に関する構造がすべて備えられることを証明した。

再審で、被告がMedia、Hisense(浙江)、TCLの3社に製品を販売した証拠に基づいて、侵害品が占める割合を認定するのが困難であり、これら3つの証拠では侵害利益に基づいて損害賠償を計算することはできないと最高裁は認めた。専利の種類、侵害行為の規模などの要素を考慮した上で、最高裁は法定賠償に基づいてこの部分の賠償額を80万元に確定した。 一方、Hisense(山東)社に関する証拠については、侵害品の販売額を正しく確定することができるため、侵害利益に基づいて算定することが認められた。その際、侵害品の利益に対する関連専利の貢献度も考え入れる必要があると最高裁は述べた。明細書における有益な効果に関する記載、係争製品には専利の技術案に関する構造以外に他の部品も含まれることを考慮した上、裁判所は侵害品の利益に対する本件専利の貢献度は50%と裁量した。これにより、最終的に被告は原告の経済的損失を950万元近く賠償すると判決した。

本件では、原告の主張した賠償額算定方法を採用するため、その証拠内容がまだ足りないが、最高裁は簡単に法定賠償を適用するのではなく、正確に算定できる部分については侵害利益に基づいて算定し、正確に算定できない部分については法定賠償を適用し、「算定+裁量」の組合せとのような柔軟な算定方法を採用して賠償額を確定した。また、計算を行う際に関連する証拠と結び付けて専利寄与率を確定し、権利者に十分な補償を行うとともに、公平公正の原則も体現した。


3.3 専利ライセンス料に基づいて算定する

権利者の実際の損失または侵害利益が確定しにくい場合、ライセンス料を賠償額算定の基準として利用することもできる。具体的な計算方式は、「専利紛争事件司法解釈」にも規定される。簡単に言うと、下記式(4)のようになる。

合理的なライセンス料=ライセンス料×合理倍数……式(4)。

実務では、実際の損失や侵害利益に比べて、ライセンス料を賠償額の算定基準とするケースが少ない。この原因としては、一つは、中国の専利実施許諾の比率が全体的に低く、権利者がライセンス料に関する証拠を提出することが困難である。もう一つは、権利者が実際にライセンス料を取得したことがあっても、合理的な倍数の認定が比較的に難しいため、裁判官は法定賠償を適用する傾向がある[10]。

これに対して、各地裁判所ではいろいろな指導意見が出された。例えば、北京市高級裁判所は合理的なライセンス使用料の認定について裁判基準[11]を発表し、ライセンス料を参照して賠償額を確定する場合、一般的に、比較可能な合理的なライセンス料を下回らないこととする。合理的なライセンス料の認定は、専利実施許諾契約が実際に履行されたかどうか、領収書、支払い証明書などの関連証拠の有無、契約が登録したかどうか、実施許諾に係る請求項、実施方式、範囲、期限などの要素と侵害行為との比較可能性などの要素を総合的に考慮しなければならないとの意見を示した。

浙江龍盛Vs浜海飛翔化学工業事件[12]では、原告の龍盛社はライセンス料を参照して賠償額を算定すると主張し、多くの被許諾者との契約書を提出した。一方、被告側は、原告の主張したライセンス料は合理的ではなく、侵害利益で賠償額を算定すべきと主張し、侵害利益を証明するための証拠も提出した。審理を経て、裁判所は、被告側の証拠には侵害品の販売量などを判明できず、侵害利益を計算することができないと認定した。また、原告の提出した契約はすべて履行され、被許諾者の多くはすでに高額なライセンス料を支払ったことを考えて、原告の主張が合理的であると認定した。そして、ライセンス料の合理的な倍数を計算基準として、賠償額500万元と判決した。

好孩子用品Vs.昆山威凱、上海英倫宝貝事件[13]では、原告の好孩子社はライセンス料を賠償額の算定基準として、200万元の賠償額を主張し、「専利実施許諾契約」を証拠としてを提出した。その証拠によれば、ライセンス料は100万RMB/年である。これに対して、被告側は被許諾者が原告のOEMメーカであり、その実施許諾契約が真実性がないと抗弁した。これに対して、裁判所は、この実施許諾契約が訴訟発生前に締結され、すでに国家知的財産権局で登録され、しかも被許諾者が既にライセンス料を支払ったことを考慮し、この契約書は真実で有効であると認定した。そして、係争権利は意匠権であり、侵害品の販売に顕著な役割を果たすこと、ライセンス料の額と有効期限、被疑侵害品の販売価格、販売区域、製造・販売期間、及び被告の主観的過失などの要素を総合的に考慮した上、原告の主張した200万元の賠償額を支持した。


3. 4 法定賠償

知的財産権分野における法定賠償制度は、主に知的財産権侵害事件における「立証難」という問題への対応策として確定された[5]。しかし、「立証難」の問題を徹底的に解決することが難しいため、法定賠償は知財侵害事件で主に適用された賠償方式となっている。

「最高裁判所知的財産権事件年次報告書(2018)」によると、現在、中国の専利権侵害訴訟に存在する主な問題は以下の2点である。一つは権利者が損害賠償の証拠を提出する割合が低いこと、もう一つは法定賠償の適用割合が高く、賠償金額が低いことである。

この現状を改善するため、第4回目改正専利法では、損害賠償額に関する侵害者の立証責任を規定するだけでなく、法定賠償額も大幅に引き上げる。これにより、法定賠償が適用される事件においても、権利者は高額な賠償を期待できる。

法定賠償額の判定にあたって、裁判所がケースごとに様々な要素を総合的に考量する。例えば権利の種類、侵害行為の性質、情状、持続時間、規模など、地方の経済発展水準なども考量に入っている。したがって、権利者は法定賠償の適用を請求しても、立証責任を負わないことはではなく、原告がこれらの要素に対して初歩的な証拠を提出する必要がある。

また、近年、法定賠償の上限を超えて賠償するケースも出てきた(裁量的賠償ともいう)。2009年、最高裁は「実際損失または侵害利益の具体的な金額を証明することに難しいが、上記金額が明らかに法定賠償の最上限を超えていることを証明できる証拠がある場合、事件のすべての証拠を総合に考慮し、法定賠償金の上限以上で賠償額を合理的に確定しなければならない」[14]と指摘した。

注意すべきのは、裁量的賠償は法定賠償ではなく、権利者の実際の損失または侵害者の利益に対する概略計算に属する[11]。裁量的賠償は社会の高速な発展と法律制度の遅れとの間の齟齬により生じたものと考えられる。裁量的賠償は法定賠償の上限を超えたため、裁判官は裁量的賠償を適用する際、より慎重な態度をとり、事実の究明は裁判官の心証だけでなく、当事者の立証に依存する。


4. 結び

中国の技術力の向上に伴い、知的財産権の価値は必然的に向上し、知的財産権の保護に力を入れ、侵害行為を処罰することはイノベーション型国家になるための内在的なニーズである。このような現状で、損害賠償制度の整備は、権利保護コストを低減し、侵害コストを高めるのに重要なことである。

上記判例から分かるように、損害賠償額の算定には、いろいろな要素を総合的に考慮する必要があり、簡易なことではないが、近年、損害賠償算定の精密化、合理化はすでに各級裁判所が求める目標となってきている。そして、関連証拠規則の完備、当事者の法律意識や訴訟能力の向上により、このような精密化の算定が可能になっている。



参考文献:

1. 北京知産宝インターネット科学技術発展有限公司:「中国専利侵害損害賠償司法データ分析報告書(2013-2016)」、2017年3月31日。

2. 宋健、2019年度の高賠償額事件分析報告―北京などの8地裁判所の高賠償額事件をサンプルとする。

3. 尹新天、中国専利法詳解、知的財産権出版社。

4. 最高裁判所、専利紛争案件の審理における法律適用の問題に関する若干の規定。

5. 胡晶晶、専利侵害損害賠償額の確定-中徳日比較研究、華中科術大学出版社。

6. 北京知財裁判所、(2015)京知民初字第441号。

7. 最高裁判所、専利権侵害をめぐる紛争案件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈の二。

8. 最高裁判所、専利権侵害をめぐる紛争案件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈。

9. 最高裁判所、(2018)最高法民再111号。

10.  缪 宇、損害賠償算定方式としての合理的なライセンス料の標準、武漢大学学報、第72卷第6期、 2019年11月。

11.  北京高級裁判所、知的財産権侵害および不正競争事件に関する損害賠償判定の指導意見および法定賠償の裁判基準(一)。

12.  浙江省高級裁判所、(2015)浙知民終字第91号。

13.  江蘇省高級裁判所、(2015)蘇知民終字00281号。

14.  最高裁判所、現在経済情勢における知的財産権サービス大局に関する若干問題の意見。